知っておくべき27真言

みなさん、こんにちわ、小豆島の坊主ジクウです。

今日は、お遍路に欠かせない真言について解説していきます。

十三仏の真言

真言の意味

真言とは

オンバザラダドバン

というような何を言ってるのか意味不明なカタカナ言葉です。

札所の仏様の近くの柱などに真言を書いた札が付けられていることが多いのでお遍路に行くと一度は目にします。

これは仏様を讃える呪文のような言葉で「おお〇〇仏よ 最大限あなたさまに帰依します」みたいな意味です。

ネットで軽く検索すると「仏様の真実の言葉」とか書いていますが、難しく捉える必要はありません。

冒頭の真言は大日如来の真言ですが、

「オンバザラダドバン」

「南無大日如来」

はほとんど同じ扱いだと思ってもらってけっこうです。
この仏様の真言覚えてないやー、札もかかってないからわからないなぁ・・・という場合は「南無〇〇」で大丈夫。

耳慣れない言葉なのは、古代インドのサンスクリット語だからです。梵語とも呼ばれます。
インドで興った仏教は、はるかシルクロードを経由して、中国を経て、日本に伝わってきているので、その過程で翻訳されていれば、漢文のような形で多少馴染みのあるものになっているはずなのですが、翻訳はされていません。
その理由は、音写といって、冒頭のオンや語尾のバンは翻訳不可の言霊のようなモノだからです。

有名な般若心経の中にも、音写の部分があって、

ギャーテーギャーテーハーラーギャーテーハラソーギャーテーボーディーソワカー

という最後の部分が翻訳不可だから、それ以外がほとんど漢文化しているにも関わらず、そこはサンスクリット語のままです。

つらつら書きましたが、お釈迦様の時代のインドの言葉だとわかっていればOKです。

使用方法

真言は、その名前からして、日本の仏教の一派真言宗のお坊さんだけが使う言葉かと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

インドから音写のまま伝わった言葉は、真言・呪・陀羅尼など、いくつかの呼び方があります。扱いはどれも同じです。
そして、他の宗派のお坊さんや信者さんが唱えてもなんら問題はありません。

真言は仏様の数だけあるので覚えるのが大変です。
日常生活でまったく使わない言葉の羅列なので、意味を捉えるのではなく、口につくまで唱えまくるのが記憶のコツだと思います。

陀羅尼

真言は3回から

真言は、最低3回から唱えるようにしましょう。

なぜなら1回だと、あっという間に終わってしまうので、覚えられない。
他の人と集団で巡礼する際に、一緒に唱和する間もなく終わってしまう。

2回でも少し短い。

3回がちょうどいい。

3回以上唱える場合は、5回とか10回ではなく、3→7→21回という単位で増やしていきましょう。

理由は、真言を唱えた数を数えるための道具「数珠」の単位が7回・21回という単位で区切られているから。

本連(108玉)の数珠は、一周108回の数を数えられるんだけど、間に小さな四天玉というのが入っていて、指で小さな玉の感触が来たら、7と21のところで、止めることができます。

お坊さんと一緒にお経や真言を唱えると3区切り、7区切りが多いです。(21区切りは滅多にない)

玉が小さくなってますがわかりにくい

真言を覚えるメリット

お遍路さんの中には、真言をまったく唱えない方もたくさんいらっしゃいます。

「わしは四国を3回廻った」

と豪語される方が、真言はおろかまったくお経を知らないなんてこともありました。

そんな真言ですが、必ず唱えたほうが良いと思います。

気持ちよく巡拝するため、お遍路をより楽しむためには、真言は欠かせない、と言い切ります。

理由は、札所によって本尊が変わることが、お遍路の大きな特徴で、札所札所の特性を理解する上で、仏様の真言を声に出すことで、御本尊を強く意識し、記憶に定着できるからです。
もし、真言を唱えなければ、一日数カ所めぐった札所のことを、夜宿について思い出そうとしても難しいでしょう。
ただ4ヶ所巡った、今日は10ヶ所も巡れた、それしか残らなかったら、「単なるスタンプラリーだな」と思えてしまって、お遍路の充実感が損なわれてしまいます。

せっかく貴重な時間をつかってお遍路するからには、最高のリターンが得られる形を目指しましょう!

「今日のスタートは、不動明王さまの札所か、不動明王がご本尊になっているお寺は、険しい修行場のような場所が多くて、大変だけど、印象深くて好きだな。」

「私は、不動明王のお寺とは相性が良いので、なんか勇気づけられて、護ってもらっているような気がする。がんばろう!」

とか、変わりゆくご本尊を強く意識して、自分との相性を確かめながら、仏様とのご縁を結んでいく。

そうした仏縁を見つけていく旅がお遍路とも言えるかもしれません。

「自分は、薬師如来が守り仏なので、ここの札所は呼ばれている感覚があって、とても心が安らぐ。」というパーソナルな嗜好が、十人十色の遍路が生み出し、それぞれに違った気づきやお陰を与えていくのです。

十人十色のお遍路がある背景には、お遍路さん一人ひとりの、仏様との相性が大きな差異になっているんだと思います。

お気に入りの札所、仏様が見つかれば、お遍路はほんとうに楽しくなりますよ!

最初に覚えるべき12真言

そんなわけで、最初に覚えるべき12真言を紹介します。

仏様の数は、無数にあって、12じゃ全然足りません。

ですが、真言は意味で覚えられないので、最初からハードルを上げすぎると、お遍路に出発する前に頭がパンクして行きたくなくなります。

このWebサイトでは、お遍路の敷居を下げたいと思っていますので欲張りませんよ。
12でも0から暗記するのは至難の業です。

貴方のご贔屓の仏様が登場しないかも・・・
その場合はゴメンナサイ。でも理由を説明すると納得していただけると思います。

まず、お遍路で唱えるお経の次第に必ず登場する3つの真言から

  1. 発菩提心真言 おんぼうぢしったぼだはだやみ
  2. 三摩耶戒真言 おんさんまやさとばん
  3. 光明真言 おんあぼきゃべいろしゃのうまかぼだらまにはんどまじんばらはらばりたやうん

いきなり長い!でも、ここで諦めないで!

この3つの真言はすべての札所で唱える場合が多いので、まず覚えましょう。

次に、お遍路なので、札所でご本尊として登場する仏様が目安です。

筆者の恣意的なランキングではなく、四国八十八ヶ所霊場と小豆島八十八ヶ所霊場のご本尊になっている数の合計でズラリ仏様を並べました。
四国37番の岩本寺は5本尊は、そのまま5回カウントしました。結果は以下の通りです。

  1. 39回 薬師如来 おんころころせんだりまとうぎそわか
  2. 30回 阿弥陀如来(無量寿如来) おんあみりたていせいからうん
  3. 21回 十一面観音 おんまかきゃろにきゃそわか
  4. 17回 千手観音(十一面千手観音、千手千眼観音) おんばざらたらまきりく
  5. 17回 地蔵菩薩 おんかかかびさんまえいそわか
  6. 14回 不動明王 のうまくさまんだばざらだんせんだまかろしゃだそわたやうんたらたかんまん 
  7. 10回 聖観音 おんあろりきゃそわか
  8.  8回 釈迦如来 のうまくさまんだぼだなんばく
  9.  8回 大日如来 おんあびらうんけんばざらだとばん
  10.  3回 虚空蔵菩薩 のうぼうあきゃしゃきゃらばやおんありきゃまりぼりそわか
  11.  3回 毘沙門天 おんべいしらまんだやそわか
  12.  3回 如意輪観音 おんはんどめいしんだまにじんばらうん
  13.  2回 弁財天 おんそらそばていえいそわか
  14.  2回 馬頭観音 おんあみりとどはんばうんぱったそわか
  15.  2回 愛染明王 おんまからぎゃばぞろしゅにしゃばざらさとばじゃくうんばんこく
  16.  1回 弥勒菩薩 おんまいたれいやそわか
  17.  1回 文殊菩薩 おんあらはしゃのう
  18.  1回 神変大菩薩(役行者) おんぎゃくぎゃくえんのうばそくあらんじゃそわか
  19.  1回 大通智勝菩薩 おんまかびじゃにやじゃにやのうびいぶぅそわか

以上が、四国と小豆島霊場に出てくる御本尊の真言

9位までの仏様が登場回数8回以上と頻繁に登場することが多いのがわかります。
最初の3つの真言と合わせて12。
最初に覚えるべき12真言というのもうなずいていただけると思います。

余裕があれば27真言

12真言は既に覚えてる。覚えた!という人は、残りの御本尊真言に加えて

全国に霊場があって、お目にする機会の多い七福神のご真言

  1. 恵比寿天 おんいんだらやそわか
  2. 大黒天 おんまかきゃらやそわか
  3. 寿老人・福禄寿 うんぬんしきそわか

※ 布袋尊 おんまいたれいやそわか(弥勒菩薩と同じ)
※ 毘沙門天、弁財天は札所の御本尊として既出

さらに、教本によく登場する十三仏(死んでから冥界にいくまでに通過する仏たち)も加えます。

  1. 阿閦如来 おんあきしゅびやうん
  2. 勢至菩薩 おんさんざんさくそわか

※ 普賢菩薩 おんさんまやさとばん(三摩耶戒真言と同じ)

以上、合計すると27真言になります。

いっぺんに覚える必要はありません。忘れたころにまたこのエントリーを見るもよし。
大概は札所の柱に真言が書かれた札がつけられたりしてるので、それを見ながらシドロモドロでもOKです。

そのうちスラスラ諳んじられるようになって、より気持ちよくお参りできるようになると思いますよ。

他にも真言はたくさんありますが、お坊さんでも知らない(忘れる)真言も網羅しているので、これ以上はマニアの領域になってきます。

その深みに突入したい方は、別の機会に紹介していきたいと思います。

でも、その場合、私もよっぽど勉強しないといけないので、いつになるやら・・・

まとめ

真言とは、仏様を讃える言葉。

翻訳できない内容が含まれているので、古代インドの言葉のまま伝わっている。

なので、意味で理解するのではなく音で覚える。

札所の印象や感動を鮮明に覚えておくために、御本尊の違いを認識し、真言を唱えて記憶を定着させたほうが、お遍路の充実感が増す。

最初に覚えるべき12真言は、お遍路に欠かせない発菩提心真言、三摩耶戒真言、光明真言に加えて、四国と小豆島霊場にご本尊として何度も登場する9仏。

それに、残りの御本尊と七福神、十三仏を加えた27真言を覚えると完璧。

唱えぐせや唱え方については動画を公開しますので、そちらも参考になさってください。

それでは、またお会いしましょう。合掌


四国八十八ヶ所霊場のご本尊カウント

  1. 薬師如来 23.2
  2. 十一面観音 11
  3. 千手観音  12(十一面千手観音、千手千眼観音含む)
  4. 阿弥陀如来 9.2
  5. 大日如来   6
  6. 地蔵菩薩  5.2
  7. 釈迦如来   5
  8. 聖観音   4.2
  9. 不動明王  3.2
  10. 虚空蔵菩薩  3
  11. 大通智勝如来 1
  12. 弥勒菩薩   1
  13. 文殊菩薩   1
  14. 千手千眼観音 1
  15. 馬頭観音   1
  16. 毘沙門天   1

小豆島八十八ヶ所霊場のご本尊カウント

  1. 阿弥陀如来 19(無量寿如来)
  2. 薬師如来  15
  3. 地蔵菩薩  11
  4. 不動明王  10
  5. 十一面観音  8
  6. 聖観音    5
  7. 千手観音   5
  8. 弘法大師   4
  9. 釈迦如来   3
  10. 如意輪観音  3
  11. 大日如来   2
  12. 毘沙門天   2
  13. 愛染明王   2
  14. 弁財天    2
  15. 馬頭観音   1
  16. 神変大菩薩  1
2021-04-22 | Posted in まめ知識, 坊主カメラComments Closed 

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