卒業遍路 ~七十の瞳に映ったもの~
2016年3月16日、まだ肌寒い朝、明王時に五十数名が集合し、第2回卒業遍路が始まりました。
今年はうるう年なので、霊場の番号の大きい方から小さい方へ巡る「逆うち」コースとなり、
スタートが明王寺釈迦堂で、ゴールが三都半島の薬師堂。
私は裏方スタッフとしての参加でしたが、最初の釈迦堂で行われた「大般若法会」では皆と
一緒にお勤めをさせていただきました。
「大般若法会では、600巻の経本をパラパラと開いて転読し、その経本を机にたたきつける」
という説明をあらかじめ受けていましたが、実際に目の前で行われたものは、普段のお勤め
とは全く違う光景で、バンバンと経本をたたきつける音は、朝の眠さも吹き飛ばし、本当に
貴重な体験となりました。
また、般若心経を唱えている間に経本で両肩をパンパンと叩いていただき、肩こりもほぐれた
気がしました。
この法要に会う人は、仏さまの智慧が授かり、安楽な日々を送ることができると伝えられて
いるそうで、早くもご利益があったのでしょうか?!
このインパクトありすぎなスタートは、今年参加してくれた卒業生35名にとっても思い出に
残るワンシーンになったのではないでしょうか。
私はこの後、昼食準備があり、皆さんのお遍路に同行することはできませんでしたが、
この日の為に、1つ1つ心を込めて縫いあげた金剛杖のカバーが、私の代わりに皆さんと
お遍路をしていると思うと、一緒に歩いているような気持にもなりました。
この卒業遍路にはいろんな願いが込められています。
その一つは、島の良さを知って欲しいということです。
先祖を大事にする島の人々だからこそ、綺麗に掃除された寺や庵。
お遍路があったから生まれたお接待という文化とおもてなしの心。
そして、歩き遍路だからこそ発見できることもあります。
普段通らない遍路道から見える景色。
皆と歩いて皆でお勤めをする一体感。
歩いたからこそ、いっそう美味しいご飯。
最後まで歩ききった達成感。
一人ひとり違った発見があったのではないでしょうか?
卒業生の中には島を離れる人もいると思います。
島に残る人でもこれからの新しい生活の中で、勉強や部活や仕事に追われ、
お遍路に触れる機会は少ないかもしれません。
でも、島のお寺はずっとそこにあります。そしてお遍路はいつでも、
どんな気持で回っても良いんです。
今回は白装束と和袈裟を身に着け、金剛杖をついて歩きましたが、
普段着のままでも構わないんです。
お勤めでは、皆がとても大きな声でしっかりと般若心経を唱えて立派でした。
でも、個人で回るときは、手を合わせるだけだって良いんです。
お友達とハイキングや観光、運動不足解消が目的でも良いんです。
「あぁ、あそこの景色が綺麗だったから、また行ってみようかな」というように、
心のどこかに今回の卒業遍路の思い出が残ってくれたら、とても嬉しいと思います。
アラフィフの私よりもずっとずっと感受性の強い七十の瞳には、
今回の卒業遍路がどんな風に映り、感じたのか、是非聞いてみたいなと思っています。
私もずっと島におります。また皆さんとお遍路ができる日を楽しみにしています。
実行委員メンバー 岡田 美智世
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